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セラピスト概論 englishtitleintroduction to Trainer">

セラピストの役割

日本の現状

高齢化した現代の社会では、健康に対する要望が高くなっています。テレビのショッピング番組を見ても、各種の運動機具や補助機具、ダイエット食品、サプリメント(*1)などのいわゆる健康商品が連日のように取り上げられ、人気を博しているようです。
これは、人びとの健康への意識の高さを物語っています。楽に、苦労せずに、健康になりたい。他力本願的な意識の現れと見ることができます。セラピストは、こうした人びとの心情を踏まえて、いかに接していくのかを考える必要があります。なぜ運動が必要なのか?どのように運動すればいいのか?正しい運動の方法とは?こうした疑問に対して、正しい情報をわかりやすく伝え、理解を促し、健康づくりへの動機づけをしていくことが重要です。

国の動き

人口における高齢者比率の増加、生活習慣病の蔓延は、国民医療費の急増を招き、国庫を圧迫するまでになっています。国民健康保険制度の危機的状況を回避するため、介護福祉制度を円滑に運営するため、厚生労働省はさまざまな制度改善を策定。『人生百年』時代になってもいきいきと過ごせるようにと、プライマリーケア(PrimaryHealthCare)(*3)の普及に努めてきました。これによって、栄養・運動・休養の3要素のバランスのとれた生活習慣を国民の間に確立していくのが目的です。
しかし、実際の運用に際して、一人ひとりに適した指導・アドバイスを行うソフトウエアの確立と普及は進んでいないのが実情です。体力づくりのために、人のからだの仕組みを知り、効果的で適切なトレーニング方法に通じ、けがや傷害に関する基本を身につけ、万が一の場合には迅速な応急処置も施すことができる。そのうえで、楽しみながら運動を続けることができる指導を行う。これはまさに、私たちがめざしているセラピストの役割そのものです。

セラピストが学ぶこと

歳をとっても元気で暮らす。多くの人の要望にこたえるためにはまず、セラピスト自身が、体力づくりの重要性を把握しておく必要があります。
体力の低下は、人が本来持っている身体機能の低下につながります。やりたい気持ちがあるのに、思うようにからだが動かない。これではいきいきと暮らすことはできません。いわゆるQOL(Quality of Life)(*4)が低下してしまいます。だからこそ、体力づくりの重要性(*5)が叫ばれているのです。
いかに体力を低下させないのか、低下した体力をいかに回復させるのか。ここにセラピストが学ぶべきソフトウエア、ノウハウがあるのです。
まず把握しておくべきことは、体力とは何かです。
体力とはからだを動かす力……、つまり筋力や持久力を指します。また思い通りにからだを動かす、コントロール能力も必要です。外部の環境に適応していくための能力も、体力の重要な要素です。これらのうち、どれか一つでも欠けると、自立した生活を営むことが困難になります
スポーツマンであっても、一般の生活者であっても、体力は必要不可欠です。競技者と一般の人間とでは、必要とする体力にレベルの差はありますが、病気やけがなどで体力が低下したら、まず、一般的なレベルにまで回復させる。それも可能な限り早い時期に回復させることが重要です。競技者が対象なら、 この一般レベルの体力があってはじめて、競技者として必要な能力が再構築できるからです
体力の維持・再構築・増進には、精神的な支えも必要になります。とくに低下した体力を回復させる場合、沈みがちな気持ちをサポートすることは欠かせません。セラピストが精神的な支えとなる。これも重要なセラピストの役割(*6)です
脚注
*1 サプリメント
栄養補助食品、栄養強化食品など。必要とする栄養素を積極的に摂取するための食品。

*2 プライマリーケア(Primary Care)
1次診療。予防や応急を含めた総合的な診断と治療。患者が最初に接する医療。身近で容易に受けることができ、適切に診断・処置され、しかも以後の療養についても適切な指導を得ることができることを重視する考え方。

*3 QOL(Quality of Life)
生活の質。治療効果だけを重視するのではなく、患者の生活への制限を可能な限り抑制するなど、患者の立場に立った治療の考え方。

*4 体力づくりの重要性
・体力の低下は身体機能の低下につながる。
・自分のやりたいことが自分でできてはじめて自立が可能となる。
・体力の回復が失われた機能の回復を支える。競技者は、まず一般人のレベルに回復することが最低条件。そのうえで競技に必要な高度な機能を再構築する
・回復・競技復帰のスピードも重要。

*5 セラピストの役割
健康づくり、体力づくりの身体的・精神的サポートを行う
けが・病気が治癒したあとの機能回復を図る
けがや痛みの発症・再発を防止するトレーニングの指導
一人ひとりの能力や身体サイズ、年齢、生活環境などを考慮して指導する